人間の目は近赤外の光が見えないので,植物の葉は緑色に見える訳ですが,もし赤く見える波長がもう少し長く,近赤外まで達していたら,人間の目には植物の葉は赤く光り輝いて見えることでしょう(生徒に説明すると興味を持つかも知れません)。
なお,チャンネル分解した後の画像をよく見ると,植物が近赤外で強い反射をしているとは言え,一般的な建造物などの反射と比べると弱い(暗い)のが分かります。しかし,緑や赤のバンドでは,植物の反射は建造物などに比べてはるかに弱い(黒っぽく見える)ので,カラー合成すると近赤外の相対的に強い反射のために赤く発色することになります。
1つの色だけでヒストグラムを取るときと比べ,NDVIでヒストグラムを取ると,植生と植生以外の重なりがかなり小さくなるため,植生をうまく分離(識別)できます。「考えてみよう」では,こうしたことが述べられていれば良いかと思います。
掲載した画像は以下のNASAのサイトからダウンロードしたものです。
http://daac.gsfc.nasa.gov/data/dataset/AVHRR/01_Data_Products/06_Images/
なお,このNDVI画像はAVHRRのデータを使いました。AVHRRはアメリカの海洋大気庁NOAA(日本の気象庁に相当)が運用している極軌道気象衛星NOAAシリーズに搭載されているセンサです。極軌道とは,ひまわりのような静止軌道と異なり,地球の両極を通る軌道で,ASTERが搭載されている地球観測衛星Terraも極軌道衛星です。AVHRRは気象観測が主目的なので,空間分解能は1.1kmと低いですが,観測幅は2700kmもあり,衛星2機を組み合わせることで,同じ場所を昼夜各2回は観測できるようになっています。