8.衛星データから水温を求める手順
では衛星データから水温を求める手順を説明しましょう。図9はさきほども示した衛星が観測した熱赤外線の強さのデジタル値です。これを温度に変換するためには,プランクの式と呼ばれる図10の式が必要です。実はこの式,図4のグラフを式に表した形なのです。これに衛星データから換算されたR(放射輝度と呼ばれます)を入力すれば,理論的に温度が求まります。 では,実際に温度を求めて見ましょう。図9に黒塗りで示した「1437」というデジタル値を温度に変換します。まず,「1437」をRに変換するために,R=0.005693×(デジタル値-1)という変換式に「1437」のデジタル値を代入し,「8.2」[W/(m2/sr/μm)]という値を得ます。この値を図10の式中のRに代入すると水温「284.7K(11.5℃)」という値が求まります。 |
|
図9 衛星が観測した広島湾のデジタル値 |
T:求めたい温度(絶対温度:単位はK) C1・C2:定数 λ:衛星が観測している波長 R:衛星が観測した熱赤外線の強さ 図10 衛星データから温度を求める式 |
※なお,図10式のうち,λの値には衛星Terraの赤外観測波長の10.6μm(Band13と呼ばれる観測波長帯域)を,C1には3.74[W/m2],C2には1.44×10-2[mK]の定数をそれぞれ代入しました。