車の表面温度はどれくらい?
さて,発熱源が気温より高くなることを学びました.身の回りの発熱源って,いろいろありますね...
まず,ここではわかりやすい例として自動車を取り上げてみましょう.これは,ある曇りの日に,車のエンジンをかけてアイドリングして,そのそばでタバコをすっている運転手をサーモグラフィでとらえたものです.
まず,車のボディはほとんど青色です.表面温度は19℃前後で,この日の気温に近い状態です.
ところが,ボンネットだけは,すぐ下にエンジンがあるせいでしょう,27℃まで上昇しています.車が止まっていても,エンジンをかけた状態ではガソリンを少しずつ燃やしています.そのため発熱していて,上を覆っているボンネット(鉄板)に熱が伝わっているのです.
さて,人間は・・・もう前章でみたとおり,人の顔は体温ですね(外が涼しいのでちょっと冷えていますが).そして,服は少しだけ体温で温められていますで,25℃くらいになっています.
おや,そういえばタバコの先っぽは・・・?やけどするほど温度が高いはずですが,あまりはっきりみえていません.これは,サーモグラフィの解像度が低いためです.
では,晴れている場合はどうなるでしょうか・・・真夏の昼間,信号待ちで停車中の車をまとめてサーモグラフィで撮影しました.ちょっと面白いことがいろいろわかります.
やっぱりボンネットの表面温度は,ルーフや窓ガラスの表面温度より高いですね.どの車もそうです・・・あれ,どの車も前輪が後輪より温度が高いですね(なぜでしょうか.考えてみましょう).ガラスは温度が低いのは,車内でエアコンをつけているせいでしょうか.とすると,左のハッチバック車の運転席の部分が一部温度が高いですね(なぜでしょうか.考えてみましょう).
そして・・・車が4台ありますが,そういえば車によってルーフやドアの温度が違いますね.なぜだと思いますか?・・・そうです,これは車の色が4台とも違うからです.
車は,黒や紺などの濃色で塗装されている場合,太陽光が当たることによって表面温度が大変高くなります.夏の昼間ですと,ボンネットの上で目玉焼きができるほどです.逆に,白や銀,あるいは淡い色で塗装されている車は,黒い車ほど表面温度は上昇しません.
つまり・・・太陽光は,物の表面温度を上昇させる「発熱源」なのです!

1988年8月7日13:46,国道15号線(神奈川県川崎市)にて