事業紹介
SERVIS 宇宙環境信頼性実証システム
SERVIS(Space Environment Reliability Verification Integrated System)は、我が国が得意とする民生部品・技術を宇宙等で使用するための知的基盤(データベース、ガイドライン)を構築するプロジェクトです。現在、人工衛星等には高価で旧式な高信頼性部品と呼ばれる部品が使われていますが、これらに替わりパソコン、携帯電話等に使われている最新の民生部品・技術を使い、抜本的な低価格化、高機能化、短納期化を図るものです。本プロジェクトでは200品種以上の民生部品・技術に対する放射線試験等の地上評価試験を実施し、その結果をデータベースに蓄積します。また主要部分に民生部品・技術を採用した実験機器を作り、宇宙実証試験を行います。これらの成果は、民生部品・技術を人工衛星等で使用するためのガイドラインとしてまとめられます。
プロジェクト概要
■SERVISプロジェクトの目的
宇宙環境信頼性実証システム(SERVIS : Space Environment Reliability Verification Integrated System)は、経済産業省の監督のもとに新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の委託により当財団が開発を開始した宇宙実証システムです。このプロジェクトは、我が国の民生部品・技術を宇宙環境下で使用するための知的基盤として各種ガイドライン類を作成し、また民生部品・技術データベースを構築することを目的としています。
■SERVISプロジェクトの背景
通信・放送・観測分野等での衛星の利用はますます進んでおり、激しさを増す国際競争に勝ち抜くためにはその低価格化、高機能化・短納期化が必要不可欠です。これを実現するためには、設計・製造・試験・調達・管理に関する抜本的な改革が必要です。このためのキーとして選定されたのが我が国が最も得意とする民生部品・技術であり、この宇宙転用を目指すのがSERVISプロジェクトです。
■なぜ民生部品・技術なのか
衛星搭載機器に使用される電子部品は一般に「高信頼性部品」と呼ばれ、民生部品と比較すると高価で技術的に古いものです。一方、自動車、パソコン、携帯電話等に使用される我が国が得意とする民生用電子部品は、技術・品質面で世界的にも優秀であるとの評価を得ており、これらの電子部品を宇宙に転用することが出来れば、衛星の低コスト、高機能のための有効な手段になるものと期待されます。衛星に使用される電子部品は多種多様ですが、SERVIS プロジェクトにおいては、マイクロプロセッサ、メモリ、ゲートアレイなどの高機能半導体の部品を重点的に評価しています。これらの部品を地上で試験し、その成果を踏まえて実証衛星を打ち上げて宇宙実証試験を実施し、民生部品・技術の宇宙分野への転用のための知的基盤の構築を図る計画です。
■プロジェクトの状況
SERVISプロジェクトは平成11年度から開始されました。この間、平成15年度と22年度に各1機の実証衛星を打上げ、宇宙実証試験を行いました。プロジェクトはこのほかに民生部品・技術の地上評価試験、各種実験機器の開発、効率的な開発を行うための開発支援システムの開発から構成されます。なお、平成22年度より実証衛星3号機等の開発を開始しました。
■SERVIS宇宙実証の成果
宇宙システム開発利用推進機構(J-spacesystems)は、経済産業省から委託を受けて1999年度よりSERVIS事業を推進してきました。本事業は我が国の宇宙産業の国際競争力強化を目的として、地上模擬試験や宇宙実証試験を行い、ガイドライン・データベース等の知的基盤を構築するものです。
その中で、実証衛星3号機(SERVIS-3)のプロジェクトは、衛星及び実験装置(コンポーネント)を宇宙実証し世界市場に展開するため、2011年度に開発を開始しました。本プロジェクトにおいて、衛星は2014年度まで開発を行いました。また開発していたコンポーネントの中でグリーンプロペラント推進系(GPRCS)及び粒子エネルギースペクトロメータ(SPM)は、2015年度に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募した革新的衛星技術実証1号機の実証テーマとしてJ-spacesystemsが提案し採択されました。その結果、GPRCS及びSPMは小型実証衛星1号機(RAPIS-1)に搭載され宇宙実証を行うこととなりました。
なお、GPRCSについては開発当初よりJ-spacesystems はJAXA宇宙科学研究所と共同研究の形で設計・製造・試験・運用・評価を行いました。
RAPIS-1は2019年1月18日にイプシロン4号機により打ち上げられ、2020年6月24日に停波し運用を終了しました。GPRCS及びSPMは1年余りの宇宙実証を行い、いずれも当初の目的を達成することが出来ました。RAPIS-1での宇宙実証成果を受けて、担当メーカではこれらを積極的に国内及び世界市場に展開し販売する計画です。
■説明項目
・実証衛星
・実験機器
・環境計測装置・部品単体試験装置
・民生部品の評価
・開発支援システム
・SERVIS-1運用終了
・SERVIS-2運用終了
説明が入ります