PALSARが捉えた災害の目
2006年5月インドネシア東ジャワ州シドアルジョ(Sidoarjo)県の天然ガス掘削井から多量の泥水が噴出した(対象地域は図1参照)。米ABCニュースによると、9月の段階での噴出量は165,000立方ヤード/日(約126,000m3/日)で、この量はアメフトコートに75フィート(約23m)の深さに達すると報じた。この噴出は現在も続いており、止まる様子はない。この噴出は泥火山からのものという見方が有力であり、泥水の噴出に伴う地盤沈下が原因で、2006年11月22日、当該地域を横切るガスパイプラインが破壊され爆発を起こした。
図2は、2006年1月に打ち上げられたALOS/PALSARデータを用いた干渉処理結果である。図の中央に見られるフリンジは、2006年5月19日から11月19日の6ヶ月の間に最大約2m(鉛直方向に換算)の沈下が起きたことを示しており、この直後にパイプラインが爆発している。その後、この地域の村落からは1万人を超える人々が避難を余儀なくされ、高速道路など重要なインフラ被害も報じられている。
JSSは、国際協力活動の一環として、PALSARを用いた地盤沈下の観測とASTERによる環境及びインフラ等の災害状況観測を今後も継続し、災害対策計画に役立つ情報をインドネシアに提供していく予定である。
|