分光放射計を使った結果から,図11のようなグラフが書けたでしょうか?生きた葉は450nm付近と伴に650nm付近の反射率が相対的に低いですが,枯葉は生きた葉と比べると相対的にこの波長で反射率が高くなっていますね。これは葉が枯れてくると650nm付近の光を吸収するクロロフィル色素が減っていくからだと言われています。従って,生きた葉は緑に見え,枯葉は赤く見えることが多いのです。これが葉が紅葉(こうよう)する原理です。一方,水の反射率は非常に低いことがわかります。これは水が光を全波長にわたって吸収してしまうからです。だから,衛星画像で水は黒っぽく映るのです。
以上のように,地上の物体によって,各波長の反射率が異なることがわかったところで,いよいよ実際の衛星画像から,土地分類が本当にできるのか,確かめてみましょう。ここではASTERと呼ばれる衛星センサが撮影した,広島市街地の画像(図12)を使います。図12には,異なる4種類の地上物体の調査地点を示しています。ASTERが観測する波長帯は,さきほどの分光放射計よりも粗く,表2に示すような3つの波長帯を観測しており,それぞれバンド1,2,3という名前がついています。さらに,表3には,図12に示す4調査地点における衛星データのデジタル値(反射率に相当)が示されています。この表3を使って,4調査地点における分光特性を図11を作成した要領で折れ線グラフを図13のグラフに描いてみましょう。ただし,横軸である各波長帯(バンド)の値は,中心波長帯の値(例えば,バンド1であれば560nm,同様にバンド2,3はそれぞれ660nm,810nm)を使用してください。
グラフが出来上がったら,地上物体におけるデジタル値(反射率)の分光特性について話し合い,衛星画像から土地分類ができるしくみを改めて考えてみましょう。
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図11 地上物体の反射率測定結果(表1)のグラフ例
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表2 衛星センサASTERが観測する波長帯
波長帯名 |
観測波長帯 |
バンド1 |
520〜600nm |
バンド2 |
630〜690nm |
バンド3 |
760〜860nm |
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図12 広島市街地の衛星画像と土地分類調査地点.
調査地点は数字の1〜4で表す.
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図13 衛星画像を使った広島市街における土地の分光特性
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表2 図12の各調査点における衛星データのデジタル値(反射率に相当)
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バンド1 |
バンド2 |
バンド3 |
調査点 |
場所 |
地上物体 |
560nm |
660nm |
810nm |
1 |
広島市街北西部 |
森林 |
45 |
38 |
175 |
2 |
広島市民球場 |
芝生 |
190 |
84 |
96 |
3 |
広島西飛行場 |
アスファルト |
76 |
119 |
110 |
4 |
広島湾 |
水 |
4 |
38 |
47 |
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