この教材について
小中高校の新指導要領では,総合的な学習の時間を新たに設けることとなり,小中学校では平成14年度から,高校では平成15年度から本格実施されることとなりました。しかし,現在までの所,その取り組みには小,中,高の間で大きな格差が見られます。小学校では地域を舞台に様々に展開されており,教師もその可能性に期待を持っていると報告されています。しかし,中学校になると高校受験の影響や類似行事(選択教科や修学旅行など)との兼ね合いで現場に混乱が見られるようです。更に高校になると大学受験との兼ね合いや現場の意識の低さもあって,特に普通科では対応の遅れが際立っており,課題が山積していると報告されています。
一方,理科教育では指導要領の改訂で「理科総合A」などの科目が創設され,温暖化,酸性雨,水質汚染など,地球環境の重要性を理科の授業を通じてどう学ばせるかが重要なテーマとなっています。加えて,高校では平成15年度から普通教科「情報A・B・C」が実施予定であり,履修する生徒の興味や関心に応じた授業展開が期待されています。
こうした背景の下,社団法人・日本リモートセンシング学会(略称:RSSJ)では,経済産業省所管の財団法人・資源環境観測解析センター(略称:ERSDAC)からの委託を受け,衛星データの教育現場への利用普及を図るべく,その指導案や教材の作成を企画いたしました。当学会では,インターネットを用いた高校における「総合的な学習の時間」に向けた教材作りを当面の目標に,「衛星データを用いた教育推進検討委員会」(委員長:東京大学教授・六川修一)を立ち上げ,高校の先生方にも加わって頂き,平成14年1月より活動を開始しました。そして,平成14年3月末に現状分析や指導事例集から成る報告書とそれを具体化した教材(2002年版)を作成致しました。そして,平成15年度には,2002年版を高校の授業で使用して頂き,改善点やアドバイスを受け,平成15年3月末に本教材(2003年版)を作成するに至りました。
本教材が高校教育の現場で少しでもお役に立ち,また衛星データの普及の助けとなり,また昨今の「理科離れ」に歯止めをかけることに少しでもお役に立てれば幸いです。
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