ハイパースペクトルの最大の特徴は、高波長分解能を有し、対象物の性質・物性を示す反射率を広範囲の波長帯で連続的に得ることができることです。植物(9月の水稲)のスペクトルを例に、マルチスペクトルセンサとハイパースペクトルセンサによって得られる反射スペクトルの違いを示す模式図を以下に示します。マルチスペクトルセンサとしてはASTERを想定し、図中ではASTERの観測波長帯に該当する部分(9バンド)を赤線で表示しています。ASTERをはじめとするマルチスペクトルセンサでは連続的に測定しないため、計測しない波長の様子は当然わかりませんが、ハイパースペクトルは連続的に測定するため、より多彩な情報が得られることが模式図からわかります。なお、ハイパースペクトルのグラフが一部途切れているのは、大気に含まれる水蒸気や二酸化炭素によって入射や反射エネルギーが吸収され、計測できない波長があるためです。
マルチスペクトルセンサとハイパースペクトルセンサによって得られる反射スペクトルの比較
また、地上にある物質は、それぞれ特徴的な反射スペクトルを持っています。大地を成す岩石である火成岩、変成岩、堆積岩、その上に被覆する土壌、土壌の上に生えている植物、雪氷や人工物の反射スペクトルの例を以下に示します。
地上にある様々な物質の反射率(スペクトルの出展:Johns Hopkins University
Spectral Library (ASTER Spectral Library)).
このように、地上にある物質の特徴的な反射率を計測することによって、マルチスペクトル よりも詳細に、地上の物質を知ることができます。